先日、 “やっぱり介護って楽しいなぁ~” っと感じる瞬間がありました!
新規入居の方の支援方法を検討しているときの話です。
新規入居ですから、ご本人の機能や出来ることを見つけるため、
現場の職員と実際に入居者の方の入浴支援を行いながら支援方法について検討しました。
入居者の方が女性であり、自分が入浴するときに、何人もの職員に見られていたら恥ずかしいと思うと思い、支援は女性職員に任せ、私はご本人に見つからないように隠れながら、脱衣室からのぞき窓で様子を見ることにしました。
まずは、身体を流して湯船に浸かり、温まったところで洗うことにしました。
入居者と話をし、頭から洗うことになります。
職員:「髪の毛にシャワーをかけてもらってもいいですか?」
入居者:「かけてよ~」
職員:「じゃあ、かけますね~」
職員:「髪の毛を洗ってもらってもいいですか?」
入居者:「どうやるの?」
職員:「(シャンプーを手の届くところに置きながら)これがシャンプーなので、シャンプーをつけていただいて…」
入居者:「これ~?」と言いながら、シャンプーを手にとり、髪の毛を洗い始める。
職員:「(洗えた状況を見計らって)髪の毛流しますか?」
入居者:「お願い」
職員:「お湯をかけますよ~」
入居者:髪の毛を自分でこする
こんな感じで髪の毛を洗い、同じようにリンスをし、身体を洗うところにきました。
職員と小さな声で話をし、身体を洗うときは職員が浴室から脱衣場に移動して様子を見ることにしました。
職員:「(垢すりタオルにボディーソープをつけてもらい)◯◯さん、ちょっと洗っていてもらっていいですかね?」 といい、脱衣室へ移動し、ドアののぞき穴から本人の様子を確認する。
入居者:黙々と身体を洗う。
職員:「すごいね。しっかり洗えているね。」と職員同士で確認する。
入居者:おもむろにカランからお湯を出す。
職員:「お湯を出せるんだ」と職員同士で驚く。
入居者:立ち上がろうとされる。
職員:慌てて「どうですか~」と声をかけながら浴室へ。
「洗えてますか?」
入居者:「これからお尻を洗おうと思ってね」と言いながら立ち上がり、お尻を洗う。
入居者:「(カランからお湯を出し、シャワーを見ながら)あれ?お湯が出ないよ」という。
職員:「シャワーですか?シャワーはここのボタンを押して…」と説明。
入居者:ご自分で身体を流す。
再度、入居者がお湯に浸かり、職員は浴室から脱衣室へ移動し、様子を見る。
しばらくしてから、上がり湯をかけてもらい脱衣室へ移動してもらう。私は脱衣室から隣の部屋に移動し、ドアの隙間から様子を見る。
職員:(入居者に身体を拭いていただき)肌着です」と言いながら、入居者に肌着を手渡す。
職員を呼び、衣類を手渡すのではなく、衣類を入れたかごを入居者の横に置き、その場を離れることにする。
職員:「ちょっと離れますけど、洋服はこちらにありますからね」と言い、隣の部屋へ移動する。
入居者:「(肌着を着て終わり)ん~?こりゃなんだい?パンツか?」と言いながら、パンツを回転させる。
入居者:「こうか?」と言いながら、履いてみるも太もものところでパンツを上げられなくなる。
職員二人でその様子を確認しながら、「あれ?足のところから履いちゃってるかな?手伝いに行こうか」と相談する。
職員:「どうですか~?」
入居者:「小さくて履けないのよ~」
職員:「ちょっと確認してみるので、一回脱ぎましょうか。あっ、ここは足を入れるところかもしれない」
入居者:「(笑いながら)そうか、だから履けないのか」
職員:「また来ますからね」と言いながら、隣の部屋に移動する。
その後も入居者は、試行錯誤をしながら、休み休み洋服を着ていく。
職員二人で相談し、終わったらこのドアから出てきてもらえるように声をかけることにする。
その後も入居者の様子をドアの隙間からのぞく二人…。
私は職員に対し、「なんか、こうやって入居者を見守れる職員って素敵だよね」
職員は、「そうですね。どうしても近くにいると手を出してしまいがちになってしまいますもんね」
そんな話をしていると、入居者の方は洋服を着て終わり、「よし、これでいいか。どこから出ろって言ってたかな」と言いながら、ドアを開けて出ていかれる。
私は入居者の支援を職員とともに見守り、“ここは支援が必要だね”と一つひとつの動作を見極めていくことがとても大切なことなのだと思います。
「手伝って」と言われて、手伝うことが本当に正しいことなのか…
その時の入居者の様子や表情、性格などを見極めながら、手伝うか、ご自分で出来るように促すか等の支援の方法を考え、最善の選択をするのが専門職だと考えています。
入居者に出来る能力があるからと言って、当然のようにやってもらったり、やってもらうことを強要するのは、専門職の仕事ではないと考えています。
見ているだけが、見守りではありません。
出来るからやってもらうという職員の決めつけは、見極めではありません。
先日のような、職員との支援の話は、とても楽しいひと時で、とても仕事をした瞬間でした!
もし、毎日こんな可能性を見つけていけたら、もっともっと素敵な生活ができるはずです!
常に新たな入居者の可能性を見つけていきたいですね!
頑張りましょう!
笹木 良