梅本ブログ

自立度が高いからできるんだ

2012.08.15. / Posted by otake

「梅本さん、ぜひうちの母の姿を色々なところで、色々な人たちに見せてやって下さい」

 

 

以前勤めていたグループホームを辞めさせていただくとき、僕にそう声をかけてくれたご家族がいました。そして、そのご家族はこうも言ってくれました。

 

 

 

「母が認知症と診断されたころ、世間は認知症に対してとても冷たかった。偏見や誤解もたくさんありました。なにせ息子である私自身も誤解していることがたくさんありましたからねぇ(苦笑)」

 

 

「そのころから比べれば、今では偏見や誤解もずいぶんと減りましたし、認知症のことが正しく知られているなとも感じます。でもね・・・・・・・・・・」

 

 

 

「まだまだですよ梅本さん」

 

 

 

「病気のことが正しく理解されることも大切だけど、病気のことだけじゃなくて、認知症になってもうちの母みたいに元気に暮らせる、いろんなことが自分でできる・頑張れるってことは知られてない。そのために、ここの職員さんたちのようなプロがいることもあまり知られていない。私だって、ご飯を食べさせて、お風呂に入れて、オムツを換えて・・・・・ってことをしたり、ゲームをやったり、楽しいイベントをやったりするのが介護やお年寄りが入る施設ってものだと思ってましたから」

 

 

 

「だから母の姿を見た人たちが、知ってくれたり、変わってくれたら嬉しいんですよ」

 

 

「認知症になっても、こんな風に生きられるっ・・・・・てね(笑顔)」

 

 

「それに、自分のことが自分でできるように頑張ってくれるプロ(支援専門職)の人や、ここのような施設がもっとたくさんできて欲しいですしね(笑顔)」

 

 

 

 

 

本当なら、「最期まで僕に任せてください」

 

 

と約束していた梅本が、「世の中の介護を変えたい」

 

 

「そのためには、ここのような実践をあそこでも、ここでもできる。それが当たり前っていうようにしていきたい」

 

 

というワガママから、「だから、活動の場を別の場所にしたい」と言ったことに対し、

 

 

「約束が違うじゃないか」と言われ、怒られてもしょうがないところをこんな風に語りかけてもらい、さらに、

 

 

「だから梅本さん、今までやってきた介護を別の場所でも頑張って、日本全国いろんなところで梅本さんとここの職員さんたちがやってきた介護を伝えて下さい」

 

 

という言葉をかけてもらいました。

 

 

それは、他の大多数のご家族も同じで、その言葉とともに

 

 

「そのためなら、遠慮なく映像を使っていいですよ」と言っていただけました。

 

 

 

 

だから僕は、

 

 

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入居し、

 

 

日常生活を送るうえで欠かすことのできない様々な生活行為を

 

 

 

 

 

 

 

自分で頑張り、

 

 

 

 

 

 

入居者の方同士、入居者の方と職員とで助け合って頑張る

 

 

認知症の状態にある人たちの姿を

 

 

講師として呼んでいただいた研修会などで語ります。そして、

 

 

「遠慮なくうちの母(父)の写真を使ってください。そして変えてください」

 

 

と、ご家族が言ってくれた映像(写真をスライドショーにしたもの)を研修に来てくれた方々に見てもらいます。

 

 

 


 

 

 

話しは変わり・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

その映像を見た方々から、いろんな声をいただく。

 

 

以前、おはよう21(中央法規出版)の連載でも書かせていただいたが、そんないろんな声の中で特によくいただく声が

 

 

 

『自立度が高いからできるんだ』

 

 

 

という声。

 

 

 

僕には、何をもって自立度が高いというのかはわからない。

 

 

ただ、入居者の方たちの姿を映像で見てもらうと、

 

 

「認知症の状態にあるとは思えない」

 

 

と言う人が多いので、その人にとっては

 

 

認知症の状態=色々なことができない状態であり、だから自立度が高い入居者の方たちに見えるのかもしれない。

 

 

 

 


ただそう見えるということは、

 

 

今までできていたことができなくなった・わかることがわからなくなった

  

 

さらに、認知症の状態によるトンチンカンさもある人たちが、

  

 

おたけの郷の「運営目標」でもある

 

 

どんな障がいがあっても、可能な限り自分に必要な生活行為は自分でできるよう支援し、

 

 

入居者の方たちに『活きて、生きる姿』を取り戻す

 

 

 

(( おたけの郷の運営目標などの詳しい記事はこちら → http://otakenosato.jp/management.php ))

 

 

 

ってことに近づいたってことであり、その姿に近づいたってことは、成果のわかりにくい「支援」という仕事において

 

 

「俺たち(職員)頑張ったなぁ」と言えるものなのだ。

 

  

何せ入居者の方たちのその姿の裏には、支援専門職(職員)が黒子となって、自分が持っている専門性を発揮し、

 

  

素人にはできない仕事をしてきたという事実があるからだ。

 

 

 

 

 

 

 


また、

 

  

『自立度が高いからできるんだ』

 

  

という発言に対して僕が思うのは、この業界では、その人自身にできることがまだまだあっても、

 

  

入居者だから、高齢だから、認知症の状態だから、寝たきりの状態だから

 

などという理由で、誰でもかれでも管理統制した生活を送らせ、

 

 

できることを取り上げる・できることの可能性を探すこともない

  

 

一方的にしてあげる施設や専門職が多くないだろうか・・・・・ということだ。

 

 

 

 

 

 

 

「自立度が高いから・・・・・・・・・・・」

 

  

と足踏みしている前に、やれることがあるはずだし(それを探すことから始めるってことはできる)、

  

 

そもそも、あなたが思う「自立」ってものを存分に発揮できる状態にあるにもかかわらず

 

 

 あなたに出会った最初から発揮させることなく、衰退させてしまうのは

 

 

 

 

 

 

「おかしい」

 

 

 

 

 

 

と僕は思うのだ。

 

 

 

 

 

梅本 聡

 

 

 

 

[photo協力:梅本が以前勤めていたグループホームで同じ時間を過ごさせていただいた入居者の方々]

 

 

 

 

 

 



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